先生、教えて?
先生シリーズC
堤先生。
生徒はこの日、この時間までわくわくして仕方がなかった。
「はい、今日は自習だからしっかり勉強してね」
先日、噂の先生カップルの情報を握っていると聞いた堤郁江の授業がやってきたのだった。
自習だが、クラス一丸となってどういう風に聞き出そうか作戦を練っている。
ふと、ある生徒が堤を見る。
すぐに隊長と称されるクラス委員に報告だ。
「隊長、堤先生本日発売の 悩殺ジャンキー 10巻を読んでます!
ブックカバーしてますがすけてバレバレです!」
「堤先生ってつかめない…!」
みんなが堤にそれとなく視線を送ると、ふと顔をあげた堤が、
「何?みんなして」
と、さほど驚いた様子もなく尋ねる。
意外に聞き出しやすそうな雰囲気を感じとった生徒達は意を決して、呼びかけた。
「堤先生」
「何?」
「梶原先生と蕪木先生はどういう関係なんですか?」
「いつから付き合ってるんですか?」
「ていうか蕪木先生にぶそうですよね」
「堤先生すきでーす!」
質問とともに別のことまで堤にぶつけられる。
自習のはずが、なんとも騒々しい雰囲気になっている。
そして堤は読んでいた漫画を置く。
生徒は息をのんだ。
「あの二人の付き合いは長いよ。
ラブラブに見える?
実はウミはマイハニーなんだ…」
「おい待て堤!」
一斉に前の扉に視線が集中する。
そこにはなぜかウミが立っていた。
――梶原生生?!
――なんでいるの?
――ていうか教師として大丈夫なの?
生徒は不審げな目でウミを見る。
その雰囲気を察し、
「見てんじゃねー!」
得意の罵声を散らす。
「ウミは俺のハニーだよ」
「ちげーよ!」
また授業中だということも無視してウミが叫ぶ。
「…間違えた。今回はナカが俺の彼女設定なんだったね」
「は!?誰がんなこと言った!
ナカはおまえのじゃねー!」
「じゃあ誰の?」
「俺のに決まってんだろクソつつ…」
教室が一瞬静まる。
堤はうっすらと笑みを浮かべている。
「そうそう、そうだったね。ナカはウミのだったよね」
「ちげー!!」
生徒たちは華麗な誘導尋問にあっさりとひっかかってしまったウミを憐れみの目で見ている。
もうごまかしようがない。
生徒たちはしっかりと二人のラブラブぶりを見ていたとはいえ、改めて噂の裏がとれ、満足するのだった。
fin.
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あとがき。
やってきました郁ちゃんです。
絶対あの人は生徒とともにウミナカをいじりたい人ですよ!!笑
一応発売日ということでそのネタも散りばめてみました(気持ちほど)
written by...澪