1+1が2になるような簡単な、話。
世界の中心
「ウミっ…待って!」
ナカの手をひき、走ってゆく。
脇目もふらずに、ただ、夕暮れの道を走る。
「ナカん家…今日…ダメか?」
熱っぽいウミの声だけが聞こえる。
さっきの雨で風邪でもひいてしまったのか。
いや、そうではないことくらい、ナカも分かっている。
そして、気付いている。
同じように、
心に熱をもった自分に。
「…大丈夫…」
そしてウミは無言で頷き、ナカの家へと夕焼けを切り裂き、走った。
家に入ると、誰もいなかった。
あまりナカの家では日常茶飯事ではない。
ナカ母の相変わらずの緊張した声も聞こえないのはなんだか逆に落ち着かないくらいだ。
「なんでおまえん家、今日誰もいないんだ?」
「みんなで旅行行ってる…。
わたしは明日お仕事だから行かなかったけど…」
そのことは暗に、今日は誰も帰ってこない、ということを伝えようとしているようにもとれる。
二人は自然とナカの部屋に入っていく。
もう二人に会話はいらないのかもしれない。
先ほどからの異様な火照りは頭の先から身体のすみずみまで侵してゆき。
夕焼け色の熱さに蝕まれた二人とはうらはらに、窓の外は暗くなってゆく。
扉を静かに閉めて、優しいキスを交わした。
「…っ、ん…」
優しかったキスは、いつしか激しく求め合うものに変わり、
抑えのきかない域に達してしまった。
いつのまにかベッドになだれこんだ二人の身体は未だに熱がとれない。
「ナカ、おまえも」
ナカの服をずらしながらささやく。
「あん時から期待してたんだろ?」
「なっ…、ぁっ」
答えさせる余裕も与えず、ふくらみに攻め入ってゆく。
その両手は大きくて、骨張っていて、ナカに 男 を感じさせるには十分だった。
「今日…タイミングよく、ナカの家が空いてたけど、多分…そうじゃなかったら違うトコで無理矢理…抱いてたかも」
ウミは切なそうに眉をひそめてその頂を口に含んだ。
ナカもまた、与えられた刺激に身を震わせる。
「ウミ…っ、さ、ぁっ…さっきの答え…っだけど…
わわわ…っわたし変態かもっ…!
このま…っま、流されても…あっ、いっかって…思って…ひゃっ」
制服のスカートの中に大きな手が入りこんでくる。
ナカは、快感に侵されながらもウミをじっと見つめた。
頬は上気し、目はうるんでいる。
欲情。
そんな言葉を全身で表現しているかのようだった。
「ウミ…っ」
何かを求め、名前を呼ぶ。
「…んな顔でっ、名前、呼んでんじゃねえ…」
何度その名を呼ばれても込み上げてくるのは愛しさだけ。
抑えきれない激情なのだ。
ナカの足を大きく開かせ、ウミはソコに顔をうずめた。
ナカに狂わされて、どんどん余裕がなくなっていく。
舌に感じる温かさはナカの温度だ。
動かすたびに聞いてはならないような音がして、また溢れてゆく。
「あっ…やっ…ウミ…っ」
身をよじるようにして快感に堪えようとするがあがらえるはずもなく。
「や…じゃねぇんだろ」
「きゃっ…ああん…っ!しゃべっ…ない、でっ」
上の敏感な突起も時折吸い上げるとナカは開いていた足をこすりつけるように閉じてしまう。
結果的にはウミをソコに固定するようなかたちになっているのだった。
「…すげ」
流れる蜜を舐めながらぽつりとつぶやく。
「んっ…ああっ」
舌先から与えられる快感は震えるソコを濡らし、ウミ自身にも興奮を与えた。
「ウミ…っ、ゃ…あっぁ、音…たてな…っ」
「やらしー音」
「やっ…ああっ…!」
一人高みへ上らされてしまったナカの額に優しいキスが降る。
「俺は、いっつもナカのことになると余裕なくなる。ホントに、今日のはやばかった」
「本当…?」
ナカはまだ上手く働かない頭をフル回転させて言葉を発する。
そして、無意識のうちにウミに手を這わす。
「なっ、てめ…何やってんだよ!」
「ウミばっかいっつもずるいよ!」
時々大胆な行動に出るナカはなかなか頑固だ。
張り詰めたそれはナカが触れるたびにビクビクと震えるのが分かる。
しかし、ウミは今はナカに翻弄されるほどの余裕はなかった。
その刺激に息を荒げながらナカの耳元でささやく。
「ナカ…まじでやめろ…
もう俺、やばいから…」
パッと二人の目が合って、吸い込まれるように唇を重ねた。
「あっ…んんっ」
お互いが一つになる感覚。
いろんな感情がまざりあって、しかし見えるのはお互いだけ。
身体の奥深くで熱を感じあうのだ。
「ひゃっ…あんっ…!」
一際大きく突かれると、口からはまた大きな声が漏れてしまう。
結合部からおきる音も二人の聴覚を刺激し、気持ちを高めているようだった。
「ウ…ミっ!ウミ…っ!」
汗ばんだ手がウミの背中にまわる。
その切なげな声にも刺激されウミはまた激しくナカを求めてしまう。
「ナカ…っ、今俺が思ってること分かるか?」
「えっ…」
「…っ、いつもと、同じこと考えてる」
そうして、その唇は鎖骨をとおり、ナカの肌に寄せられる。
「…っ!」
「…いつも、ずっとバカみてーに。てめーのことばっか考えてる。
本当、それが当たり前みたいになってんだよ」
分かってんのか?と、顔を上げると目線が合わさった。
ナカは内部で動くウミに息を荒げながらも、笑っていた。
「ウミ…っ、わ、わたしもずっと、ウミのこと考えてるよ…っ!
自分でも…ビックリするくらい…あっああっ!」
可愛すぎるナカを抱きしめて、腰の動きを速める。
ナカに素直な気持ちをぶつけると、その何倍もの威力で返ってくるのだ。
でも、そんなナカにいつも愛しさが抑えきれなくなる。
「ウミっ…やぁっ…ああっ」
「そ…っな、締めんな…っ」
「わっ分かんなっ…、もっ、あっあ…」
ウミはナカの片足を持ち上げ、さらに深くに侵入した。
「あっ、あっ…ウ…ミ…っ!」
「ナカ…」
限界に達した二人は快感を開放し、崩れ落ちた。
いつもは言えないことを暴露してしまった二人は落ち着いたあと、自分の言ったことを思い出し、まともに顔を合わせられなかったとか。
fin.
****
あとがき。
…やってしまいました。
なんていうか、妄想バンザイですね☆(うわ)
また書くかもしれません笑
written by...澪