先生、教えて?




先生シリーズ@
ウミ先生。




がやがやがや。

授業が始まる前の教室はいつも騒がしい。

朝は前日のテレビの話題などで盛り上がるし、それ以外のときでも授業のない開放感を感じるために少しの間だが生徒は羽をのばす。


キーンコーン…


チャイムがなりはじめた。

誰からともなく早急に自分の席に向かう。

やはり高校生ともなるとケジメがついてきている。


そして、チャイムがなりおわると同時に長身の影が扉の向こうにゆらりと現れ、落ち着いた様子で扉を開ける。

いつものことながら、時間ぴったりだ。


「きりーつ、礼」

日直が号令をかける。

「お願いします」



「梶原先生〜」

これから授業内容に入ろう、というところで生徒のやたらとうきうきした声が聞こえた。


「…なんだよ」


教師歴はまだ浅い、梶原海は嫌そうにはしながらもちゃんと生徒からの呼びかけには応える。


「蕪木先生と付き合ってるって本当ですかー」

その言葉に動揺し、バキッと手に持っていたチョークを折ってしまった。

「なっ何言って」

すると咳をきったように一斉に声が飛び交う。

「どこまでいってるんですか〜?」
「だっ誰があんな」
「いつから付き合ってるんですか〜?」
「ラブラブなんですか〜?」


真っ赤になって必死に否定しようとするウミをよそに一方的に攻め立てられる。


「話を聞…」



「蕪木先生って足綺麗ですよね〜♪」



「てめ!見てんじゃね…」

言ってしまったあとで墓穴を掘ったことに気付いた模様。

ハメられたのだ。


生徒の顔はにやにやと崩れている。
いつかの生徒会メンバーを思わせる空気だ。


「そんな目で見てんじゃねー!」


また真っ赤になりながらも叫ぶウミに再び質問の嵐がやってくる。

「どこで出会ったんですか?」
「梶原先生って蕪木先生の足が大好きなんですね♪」
「足って言うか全てが好きなんですよね」
「結婚は〜?」


「うるせー!!」

と、一瞬教室は静かになり、またその静寂に笑いが起こる。

一人、息をきらして叫んでいるウミは無理矢理生徒の話題を退かせ、やっと授業に入ることができたのだった。

彼は常に、生徒からネタを見つけられてイジられているのは言うまでもない。

fin.

****

あとがき。
先生シリーズ書いてみたかったんですよ!
絶対いじられると信じてます…
梶原先生…

written by...澪