雨よりも、もっと太陽を
せめて影だけでも追えるように
暑さなんて
「あーつーいー!」
蜜柑はその少し日に焼けた身体から大量の汗をかいている。
制服はもう夏服に変わってはいるがそんなものは関係ないほどだ。
むしろ裸になりたいところだがそれもまずい。
「じゃあ脱げ。バーカ」
蜜柑はビクッとして棗を見上げた。
ちょうど蜜柑の心の中を読んでしまったかのようにつぶやいた彼はまだ読んでいる漫画から目を離さない。
棗は汗もかかず涼しい顔をしている。
彼はそのアリスのせいか、暑さには強いのかもしれない。
「棗は暑くないん?」
手であおいで気休めにしかならない程度の風を自分の身体にあてながら。
「…暑い」
「やっぱな。全然そんな風には見えへ…」
「おまえが暑い」
バッサリ。
棗の隣で崩れ落ちる蜜柑。
またや…また棗のいじわるや…などとぶつぶつと言いながらいじけている。
そんな蜜柑の行動をいつのまにか漫画から離した目線はとらえていて、ふっ、と口の端をあげた。
「何落ち込んでんだよ。俺の隣はてめえだけだ。
俺は暑くても蜜柑が隣にいれば別に暑さなんて嫌じゃねえ」
まあ、おまえはどうかしらねえけどな、と照れ隠しに付け加える。
それをしっかり聞いていた蜜柑の体温は一層上昇し、もう一度棗に寄りなおした。
そして、その太陽のような笑顔で棗の腕に頬をこすりつけるように甘えると
また漫画に目を落としている棗のこめかみから、一筋の汗が流れたのが見えた。
fin.
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あとがき。
ちょっと短いですかね?
棗はこんなこと言わないだろうな…とか思いながら書いてます。笑
…今日も暑いですね(そこかよ)
written by...澪